1 地域福祉を取巻く動向

(1)社会福祉法等

社会福祉法より関係箇所を抜粋

(目的)

第1条 この法律は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と相まつて、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉(以下「地域福祉」という。)の推進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図り、もつて社会福祉の増進に資することを目的とする。

 (福祉サービスの基本的理念)

第3条 福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。

(福祉の推進)

第4条 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。

(経営の原則)

第24条 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。

(市町村地域福祉計画)

第107条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする。
一 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
二 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
三 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項

(市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会)

第109条 市町村社会福祉協議会は、一又は同一都道府県内の二以上の市町村の区域内において次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加し、かつ、指定都市にあつてはその区域内における地区社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が、指定都市以外の市及び町村にあつてはその区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものとする。
一 社会福祉を目的とする事業の企画及び実施
二 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
三 社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成
四 前3号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業

地域福祉活動計画策定指針

地域福祉活動計画策定指針(「全国社会福祉協議会」平成15年11月)

地域福祉活動計画とは、社会福祉協議会が呼びかけて、住民、地域において社会福祉に関する活動を行う者、社会福祉を目的とする事業(福祉サービス)を経営する者が相互協力して策定する地域福祉の推進を目的とした民間の活動・行動計画」であり、その内容は、多様化した福祉ニーズがある地域社会において、それぞれの福祉課題の解決を目指して、住民や民間団体の行う諸々の解決活動と必要な資源の造成・配分活動などを組織立てて行うことを目的として体系的かつ年度ごとにとりまとめた計画とされています。

(2)保健福祉施策

保健福祉施策は、少子・高齢化の進行を背景に、社会保障と税の一体改革に向けた取組みをはじめ、これまでの制度の見直し、改正等が行われています。

地域福祉計画・地域福祉活動計画に関すること

  • 東日本大震災の発生により、災害時における要配慮者の把握と支援方法の確立の必要性が再確認されました。
  • 高齢者の所在不明問題が全国で発生し、「地域での要配慮者に係る情報の把握・共有、安否確認方法」が求められました。
  • 既存の公的サービスの対象外の人が地域で安心して暮らすことができるよう、生活維持のための支援として「見守り」と「買い物支援」が位置づけられました。
  • 平成27年4月に「生活困窮者自立支援法」が施行されました。
  • 団塊の世代の定年を背景に、「生涯現役活躍支援事業」による地域の多様なニーズと定年退職者など担い手とのマッチングが推進されています。

高齢者に関すること

  • 平成26年6月に「医療介護総合確保推進法」が成立し、介護保険制度が改正され、要支援者に対しては地域の実情に合った“新しい(介護予防・日常生活支援)総合事業”の実施が平成29年4月までに求められています。今後は地域包括ケアを推進し、町が主体となった地域づくり・まちづくりを進める必要があります。

障がい者に関すること

  • 平成23年には「障害者基本法の一部を改正する法律」が公布され、すべての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現や差別の禁止などが規定されました。
  • 平成24年に「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が施行され、虐待が疑われる場合の通報の義務が課されました。
  • 障害者自立支援法が「地域社会における共生の実現」を基本理念に掲げた「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)に改正され、平成25年から施行されています。
  • 平成25年に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が制定(平成28年4月1日施行)され、障がい者への差別的扱いの禁止や合理的配慮を求めるなど障がい者の人権を守り自立と社会参加の促進が進められます。

子どもに関すること

  • 平成27年度から子ども・子育て支援新制度を導入して実施しています。父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野で地域における子育て支援の構築が求められています。
  • 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が平成26年1月に施行されました。貧困の連鎖によって子どもたちの将来が閉ざされることがないように、今と将来をみすえ、子どもに届く教育支援、就労支援、生活支援を推進することが方向づけられています。

 最終更新日 2018年07月25日(水)